原発メーカー訴訟の会「本人訴訟」と

「選定当事者制度」について

 

 

 

 

 

「本人訴訟」とは

 

普通、裁判の原告や被告になると、弁護士を代理人に立てますが、弁護士を代理人に立てない場合は「本人訴訟」と呼ばれます。実際に「本人訴訟」で裁判を進める方も多いそうです。

 

しかし、原発メーカー訴訟のような原告の数が多い場合は弁護士を代理人にしないで「本人訴訟」の原告となることを選んだ場合、一人ひとりがばらばらに「本人訴訟」を進めると、裁判に出席できなかった場合に裁判所に特別な手続きを取らないと原告の資格を失ったり、何か裁判で主張したくても全部ひとりで書類を作ったりということをしなくてはならなくなります。

 

 

 

そうした面倒なことにならないために「選定当事者制度」というものがあります。

 

個々の「本人訴訟」でも訴える目的や裁判で勝訴すれば得られる利益は一緒である場合、その「原告」の中から代表者(「選定当事者」)を選んで届け出る(「選定」)ことで、その代表者が裁判での主張や手続きを代わりにやることができます。それが「選定当事者制度」です。

 

実は簡易裁判所までは「訴訟代理人」に弁護士でない人を立てることができるのですが、地裁からは代理人は弁護士でなければできないと定められています。それで原告同士がその代表者を「代理人」のようにするためにこの制度があるのです。

 

訴訟を国民に分かりやすく、利用しやすいものにしようという目的で、民事訴訟手続きのル-ル等を定めた「民事訴訟法」が70年振りに全面的に改正され、98年1月1日から施行されました。「選定当事者制度」はその改正された「民事訴訟法」に次のように定められています。

 

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(選定当事者)

 

第三十条  共同の利益を有する多数の者で前条の規定に該当しないものは、その中から、全員のために原告又は被告となるべき一人又は数人を選定することができる。

 

  訴訟の係属の後、前項の規定により原告又は被告となるべき者を選定したときは、他の当事者は、当然に訴訟から脱退する。

 

  係属中の訴訟の原告又は被告と共同の利益を有する者で当事者でないものは、その原告又は被告を自己のためにも原告又は被告となるべき者として選定することができる。

 

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「共同の利益を有する多数の者で前条の規定に該当しないものは、その中から、全員のために原告又は被告となるべき一人又は数人を選定することができる。」とありますが、この「前条」とは社団や財団などが代表者名で訴訟を起こせるということですので、私たちには関係がありません。

 

第2項に「他の当事者は、当然に訴訟から脱退する」とありますが、「選定当事者」を「選定」すると、「原告でなくなる」とありますが、それは、厳密に言えば「訴訟行為のできない原告」となるといった方がわかりやすいかもしれません。つまり、自分で原告席に座ったり、準備書面を出したりすることはできなくなりますが、判決の効力は「選定当事者」と同じように受けることになります。また、今回のように傍聴席の特別枠も一定数なら裁判所は確保してくれます。

 

さらに原発メーカー訴訟にとって素晴らしいことには「選定当事者制度」を活用すれば、新しい「選定者」が訴訟に参加することができるようになります。今原告になっていない人がメーカー訴訟の「原告」になれるということです。原発メーカー訴訟は島弁護士の意向でと途中で原告の募集が打ち切られたため、原告になりたくてもなれない方々がいました。そうした方々が、すでに「選定者」となってこの「本人訴訟」に新たに参加されています。

 

上記「民事訴訟法」第三十条第3項「 係属中の訴訟の原告又は被告と共同の利益を有する者で当事者でないものは、その原告又は被告を自己のためにも原告又は被告となるべき者として選定することができる。」というのは、今、メーカー訴訟の原告でない人が「選定当事者」を「選定」することで、メーカー訴訟の裁判に加わることできるということです。法務省民事局は下記のように言っています。

 

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例えば,ある当事者が訴訟を追行している場合に,その者と共同の利益を有する者でその当事者でない者が,既に訴訟を追行している当事者に訴訟追行権を授与し,訴訟に加わるには,いったん自ら訴えを提起し,弁論の併合を受けた上で,選定当事者を選定し,脱退するほかなかった。

 

しかし,このような方法は迂遠であり,常に弁論が併合されるとも限らない。

 

 

そこで,選定当事者制度を利用しやすくし,その一層の活用を図るため,係属中の訴訟の当事者でない者がその訴訟の当事者を選定当事者として選定することができるものとした(第30条第3項)。

 

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もともと、このように民事訴訟法が改正されたのは、公害やPL法(製造物責任法)で多くの被害者が出ていて、その被害者たちが先行する裁判に参加できるようにすることが目的でしたから、まさにメーカー訴訟にぴったりの制度だと言えます。メーカー訴訟では原告になりたい人がまだたくさんいたのに、弁護団の意向で原告の募集を中止したため、原告になれずにサポーターになっている人もたくさんいます。また、提訴後にメーカー訴訟について知り、原告になれないとあきらめている人もいます。その人たちや全く新しい人たちとも「選定当事者制度」を活用して、裁判を一緒にやっていきます。また、同じく「民事訴訟法」では、

 

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(選定者に係る請求の追加)

 

第百四十四条   第三十条第三項の規定による原告となるべき者の選定があった場合には、その者は、口頭弁論の終結に至るまで、その選定者のために請求の追加をすることができる。

 

  第三十条第三項の規定による被告となるべき者の選定があった場合には、原告は、口頭弁論の終結に至るまで、その選定者に係る請求の追加をすることができる。

 

  前条第一項ただし書及び第二項から第四項までの規定は、前二項の請求の追加について準用する。

 

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これを読めば明らかなように、第一審においては、口頭弁論の終結まで、新たな「選定者」を追加できるというのが定説です。控訴審においては相手方の同意が必要などについて複数の意見があります。

 

 

 

◎「分離裁判」

 

私たちの「選定当事者制度」を使って進めていく「本人訴訟」の裁判では、原発メーカー訴訟弁護団のすすめる裁判とは全く違った主張をしていきます。全く新たな主張を展開し、新たな証人を立て、内外の原告による意見陳述を行いながら裁判を闘っていき、原発メーカーの責任を追及します。賠償請求の金額も一人100万円に変更しました。そのため、裁判所では弁護団による裁判と私たちの裁判を同じ法廷で進めることができないという判断を、早い段階で出すのではないかと思われます。そうなった場合、弁護団の進める裁判とは違った法廷で審理されることになります。そして出される判決も別々になります。

 

 

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